2021年10月14日木曜日

憲剛さんのように車にサインをする存在に 猶本光×中村憲剛スペシャル対談【後編】 - スポーツナビ

憲剛さんのように車にサインをする存在に 猶本光×中村憲剛スペシャル対談【後編】 - スポーツナビ

初代WEリーグ女王になったあかつきには

「WE ACTION DAY」でレッズレディースはオンラインサッカー教室や清掃活動を実施。猶本も社会活動や地域貢献活動を増やしていきたいと語る

「WE ACTION DAY」でレッズレディースはオンラインサッカー教室や清掃活動を実施。猶本も社会活動や地域貢献活動を増やしていきたいと語る【写真:三菱重工浦和レッズレディース】

――話は変わりますが、実は事前に猶本さんから憲剛さんに聞きたいことをうかがっていたんです。


猶本 いいですか? 憲剛さんは35歳を過ぎて40歳での引退を決めていて、実際にその年齢で引退されましたよね?


中村 はい。


猶本 一方で、引退された人に話を聞くと、選手のときが一番幸せだとも言われます。憲剛さん自身は、まだまだプレーできそうな状況ながら、40歳で引退して、今、あらためてどんな心境なのかをお聞きできればなって。


中村 あー、なるほど。実際、フロンターレの後輩たちには、今のうちにサッカーをとことんやり切れという話はしています。でも、自分がもっと選手としてやりたかったかと言うと、意外とその気持ちはないんですよね。それは1カ月や2カ月という単位ではなく、長い時間をかけて、40歳でやめようという決断をしたからだと思っています。確かにもっとやろうと思えばできたのかもしれないですが、いろいろなことを考えたうえでの着地点でしたから。


 むしろ今は、自分がどういった形で日本サッカー界に貢献できるかを日々考えています。それは選手育成や指導者、解説者、今回の対談もその一つです。自分という存在を介して、WEリーグが開幕したことや、猶本光という選手がいることをどうやったら多くの人に知ってもらえるか。プロサッカー選手として自分が18年間やってきたことを、いろいろなところで還元したいという思いの方が強いですね。


猶本 なるほど。私自身も、これくらいまでプレーを続けたいな、これくらいで引退しようかなという思いはあったので、憲剛さんの考えを聞くことができて良かったです。『ラストパス』にも書かれていましたけど、決断していたから最後の5年間があったと憲剛さんが言っていたようなサッカー人生を、自分も送りたいと思います。いつか自分が引退したときには、憲剛さんみたいに言えるようにプレーしたいなと、あらためて思いました。


中村 それを言うのは、まだかなり先でしょう(笑)。WEリーグも開幕したばかりだし、なでしこジャパンも新体制でスタートするわけだし。これからワールドカップや五輪といった大きな大会をいくつも迎えていくだろうから、チャンスはいっぱいあると思いますよ。プレーを見ていても使命感を抱いているのは感じていますが、個人的には楽しくサッカーをしてほしいなと。これから起こっていくであろう変化すら楽しめるくらい、自分をしっかり貫くことができれば、おのずとステージは上がっていくと思いますよ。


猶本 WEリーグでは連勝していますが、まだリーグ戦も始まったばかり。毎試合、気の抜けない戦いが待っているので、しっかり準備をして臨みたいと思います。やるからには当然、初代WEリーグチャンピオンは目指していますし、優勝したあかつきには、また憲剛さん対談できるように……。


中村 おっ、言いましたね(笑)。そんなこと、ご褒美でも何でもないですけど。


猶本 いや、ご褒美になります。だから、優勝を目指して頑張ります!

猶本光(なおもと・ひかる)

1994年3月3日生まれ。福岡県小郡市出身。三菱重工浦和レッズレディース所属。MF/8。2007年に福岡J・アンクラスでなでしこリーグ2部デビューを飾り、12年に浦和レッズレディースに加入。18-19シーズンからSCフライブルクに移籍すると、ブンデスリーガでプレーした。20年に浦和レッズレディースに復帰すると、なでしこリーグ優勝に貢献。中盤で存在感を発揮し、ゴール、アシストを記録。プレースキックでもキッカーを務め、精度の高いボールを供給している。

中村憲剛(なかむら・けんご)

1980年10月31日生まれ。東京都小平市出身。都立久留米高(現・東京都立東久留米総合高)、中央大を経て2003年に川崎フロンターレ加入。中心選手として17年、18年、20年のJ1リーグ優勝など数々のタイトル獲得に貢献。16年には歴代最年長の36歳で年間最優秀選手賞に輝く。20年限りで現役引退し、現在は育成年代の指導や、川崎フロンターレでFrontale Relations Organizer(FRO)を務めるとともに、解説者などでも活躍中。6月には現役最後の5年間について綴った『ラストパス 引退を決断してからの5年間の記録』(KADOKAWA刊)を上梓。

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