2018年3月19日月曜日

中田久美 2018/4 致知





中田久美、高倉麻子対談記事より

中田 でも私だって、十年前には指導者になろうなんてこと、全然

思ってなかった。

高倉 私、よく覚えてるんです、その十年くらい前に一緒に食事を

していた時のことを。

 当時、久美さんはテレビに出られたり、モデルさんをやられてい

たじゃないですか。

中田 うんうん。

高倉 すごく活躍されていたから、てっきり充実しているのかと思い

きや、女優の桃井かおりさんのような雰囲気を漂わせて、「私さ、つ

まんないんだよね」って言われたんですよ(笑)。私はまだ現役だった

からその感覚がいまいち分からなかったんですけど、「何かね、バレ

ーみたいには燃えられない。当たり前だよね」みたいな話になって

 でも、まさかその時に久美さんが指導者になられるとは私も思っ

ていませんでした。ただ、それからしばらくして、イタリアから戻

ってきて指導者になられるって知った時には、「やっぱやるよね。好

きだったら、やっちゃうよね」という感じで、ずっと気にしていた

んですよ。


高倉 イタリアに行かれた時に得たものは何かありましたか?

中田 私がイタリアを選んだのは、バレーボール統計分析ソフトを活

用した「データを重視したバレー」の発祥がイタリアだったからで、

現地で実際にどう活用しているかを調べるためでもありました。でも

実際に二年間いて感じたのは、最終的にはデータなんて関係ないん

だってことでした。

 イタリアってプロリーグが行われていて、私がお世話になってい

たチームは世界のエース級が集まっていたんです。リーグの結果こ

そ七位でしたけど、彼女たちはプロフェッショナルだから、自己管

理はすごくちゃんとしていました。食ベ物からコンディションづくり

まで、非常によく考えられている。ところが、試合で二十四対二十四

の勝負どころになると、監督がサインを出しても誰も聞かない。全

員が最後は自分が決めてやるんだっていう思いがすごいんです。

 結局、そこが日本の選手に足りないところなのかなって思いまし

た。だから、いまはデータとか映像がもてはやされていますけど、

それだけに頼っているようでは、たぶん世界には勝てないなって。

確かに傾向としてはそうかもしれないけど、指導者の指示どおりに

しか動けない選手っていうのは、最終的には生き残れないと私は思

っているんです。


中田 では本物になるってどういうことかと言うと、私は当たり前

のことが当たり前にできる人になることを指すと思うんです。どん

な状況にあっても、コンスタントに八十%の力が出せればいい。

 でも、それって外国人には難しいことなんです。彼らは百二十%

の時もあれば、三十%の時もある。その中にあって、常にコンスタン

トに力を発揮できる可能性を秘めているのが日本人であって、それ

こそ日本人の強みだと思うんです。だからそういった本物の選手を、

代表監督としてー人でも多く育てていきたいですね。

高倉 おっしゃるとおりで、日本人には他国の人には真似できない

日本人のよさが絶対にあるので、その強みを活かすことで、世界と

伍して戦えるチームにしていきたいと思います。



2018/4 致知







0 件のコメント:

コメントを投稿